二歳差育児クロオ


どうやってストレスを無くすか、それが問題だ

病気の「ばあば」へ。誕生日に長男が贈った淡いピンクの花は、お別れの枕花になった

   

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枕花

8月7日、日曜日。
緩和ケア病棟に移って3日目のこの日は、ばあば69歳の誕生日。

平日、子供たちの面倒を看つづける妻のことを思い、この日は病人を後回しにして子供たちとお昼まで過ごしました。

しかし…
どうにも心が落ち着かないのです。

 

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緩和ケア病棟へ

花園みたいな庭園が隣接する「緩和ケア病棟」。

散歩する余裕も、そもそも起き上がる元気もない末期癌の患者に、果たして庭園がどれほど安らぎを与えてくれるのでしょうか。

 
緩和ケア病棟

この病棟に移るということは、

本当の意味で終末が近い

ということ。

1年間、3種類の抗がん剤治療を試行錯誤した ばあば は、ときには回復の兆しに希望を見て、時には副作用のに苦しみに絶望しました。

癌に蝕まれた胃にステント(管)を通し、癌に圧迫された胆管にもステント、さらに胃のステント内にさらに管を入れた ばあば は、…もう正直満身創痍でした。

せん妄と夢の中で

緩和ケア病棟に移る際、主治医の先生から

  • 治療ではなく、苦痛を取り除く方針への変更
  • ばあばに残された時間
  • 家族のこれからの過ごし方

おおよそ、こんな説明を受けました。

痛みを取り除くためにモルヒネを注入するため、世界が夢現になる であろうこと。
「せん妄」という混乱状態になり、訳の分からない挙動をする であろうこと。

…それでも、意識がハッキリしていながら
空っぽの胃から血を吐き、全身の苦痛と闘いながら過ごしたこの1か月 よりは、どんなに安楽なことだろうと感じたものです。

 
実際、吐き気の納まらない日々は最悪でした。
母親の背をさすりながら、嘔吐用の桶を支えるだけでも 何もできない自分が辛い のに、嘔吐する胃液が次第に血液に替わり、

「苦しい…」
「死にたい…」

とつぶやくに至っては、何故こんなに苦しまなければならないのかと心が壊れそうでした。

誕生日プレゼント

8月6日、土曜日。
地獄にも思えた日々が、緩和ケア病棟に来て少し穏やかになっていました。

明日は、ばあばの誕生日。
子供たちの写真をベッドに飾ると、意識のあるときに ばあば に見せました。

一日早い誕生日プレゼントは、写真立てに入れた子供たちの元気な姿です。
日々成長する3歳と1歳の孫たちは、
離れて暮らす ばあば を、いつも元気づけてくれる存在だったのです。

 
宣告

しかし、穏やかな時間が続くハズもなく、
主治医の先生によると

「あと一週間持たないかもしれない」

という切ない状況。

病院まで遠い上に、小さな子供が騒ぐことなどできない場所。
そうは言っても、明日の誕生日に子供たちと逢わせた方が、幸せなんじゃないだろうか。

そんな自己満足が、少しずつ心にもたげてきたのです。

妻の心遣い

そして、8月7日。

東京に戻り、子供たちと時間を過ごしていたぼくは、お昼過ぎまで心がざわついていました。

 
今日、このときも子供たちを優先していて良いのだろうか。

もちろん良いのだけれど、今まで
一度だって直接お祝いをしたこともない母親の誕生日、最後に何かできるんじゃないだろうか…。

 
妻に事情を話すと、

「お見舞いに、お花を持って行って」
「せー(長男)は、お花が大好きだから…」

そう言って長男と花屋さんに行き、長男に淡いピンクの花を選ばせたのでした。

そして、ぼくの車にお花を抱えた長男だけを乗せると

「ばあば が病気だから、お見舞いにお花を渡してあげてね」

と長男に言い聞かせてくれたのでした。

 
足元で泣き叫ぶ次男(ふー)まで連れて行くわけにも行かないため、妻は東京に残って面倒を看るのです。

長男の花束

長男が選んだのは、淡いピンクの花でした。

長男は、普段から
「お花、きれいだね~」
と言いながら、道端で花を摘んだり、お花屋さんを見たりしています。

綺麗なものを、純粋な気持ちで見ることができている気がします。

 
0183c

車で東京を出たのが昼過ぎだったこともあり、長男は車の中でグッスリとお昼寝。
難なく柏市の 国立ガン研究センター 東病院 までやってきたのでした。

 
幸い、母の意識はハッキリしていました。

誕生日のこの日、
孫が来たことに喜びの声を上げ、長男からしっかりと花束を受け取ったのです。

長男は恥ずかしそうにしながら、ばあばに花束を渡すと、すぐにぼくの後ろに隠れてしまいました。

久しぶりに笑顔になった母は、

「綺麗なお花ありがとう、また来てね」

と、嬉しそうではあるものの、少し寂しい言葉でお別れを言ったのでした。
この日は、ぼくを 他人だと思ったまま でしたが…。

 

枕花

病室の花瓶に、長男の花束を活けてから4日後。

淡いピンクの花は未だ枯れる気配はありませんでしたが、母親は眠るように息を引き取りました。

 
長男が渡したお見舞いの花は、母の胸に載せられて霊安室へ。
そして、
母が帰ることができなかった自宅へ、一緒に帰宅したのでした。

 
お別れの枕花 となった淡い色の花束は、
母の身体が無くなってしまうまで、傍らにあったのです。

 カテゴリ - ばあばの死

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