12年間のWEB制作で、本当に憂鬱だった5つのSEO相談事例
タグ : SEO
仕事でWEBサイトの制作を始めて12年。
ある業界向けのサイト制作・更新代行を請け負っているのですが、新しく来る中小企業の顧客はいつも 検索エンジンやSEOに理解のない人ばかり。
そういう顧客しか来ない企業で働いていることは棚に上げて、今までに相談・依頼を受けて 憂鬱だった事例 をまとめてみます。
この記事で、過去にどんなSEO手法が流行ったのか分かるかもしれません。
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もくじ
「相互リンク依頼」のメールが届いたんだけど?
Googleが「被リンク」を検索順位の重要な指標にしていた、2005年~2008年頃に流行したのが「相互リンク」です。
被リンクとは、他のサイトからリンクを受けること。
「被リンクが多いページは検索順位が高い」という客観的事実もあったので、多くの人が被リンクを集めようと必死になりました。
被リンク獲得の手段の1つが「相互リンク」で、「私もリンクしたから、あなたもリンクしてね」という手法で広がりを見せました。
巷には「相互リンク集」というコンテンツのないリンク集サイトが乱立。
顧客のサイトはと言えば、本来の業務とは無関係の「相互リンクコーナー」を設けて、登録した相互リンクや知り合いとの相互リンクなど無数のリンク先を記述していったものです。
サイト運営者の良心に訴える姑息なメール
そんな相互リンクが隆盛を見せる中、やがてこんなメールが顧客に届くようになります。
「初めまして! あなたのサイトに向けて、先にこちらからリンクしました」
「だからあなたもリンクをお願いね」
メールを受け取った顧客からは、切実な相談が寄せられます。
「向こうは既にリンクしてくれたんだ」
「何とかページを作って、リンクをしてあげられないか?」
…憂鬱でした。
「あなたのその善意が悪用されている」と伝えるのは。
おまえはアホか
お分かりかと思いますが、このメールはSEO業者の営業手法です。
「先にリンク設置したよ」と恩を売って、被リンクを獲得する厭らしい手段です。
この手法で得をするのはSEO業者だけ。
相当数の相手に向けてメールを送信しているので、たとえ応じる人が少なくても一定数の被リンクは獲得できるのです。
顧客には
「お前はアホか。
そんなのSEO業者の営業手法だろ!
いちいち真に受けるなよ。効果なんかないんだから」
…とは言えないので、切々とメリットがないことを訴えたものです。
酷いところだと、リンクすら設置されていませんでしたからね~
「有料リンク」を購入したが、効果がなくなった
これもリンクに関連する話で、2008年~2010年頃に多かった相談。
SEO業者から、
「被リンクが多いサイトは、検索に強いんですよ」
「様々なサイトから50個リンクをしますので、お値段30万円いただきます」なんていう嘘みたいな営業の電話が、中小企業にはよくかかってきました。
先ほどの「被リンクが多いページは検索順位が高い」という事実に基づき、SEO業者が始めた手段です。
やがて被リンクの売買は禁止された
当初、この取り組みは成功したかに見えました。
リンクを購入したサイトは、被リンクが一気に増え、一時的にライバルを抑えて比較的高順位を獲得したからです。
程なく、Googleが不自然な被リンクによる順位操作を禁止してから雲行きが怪しくなりました。
不正である不自然なリンクに見えないように、「ナチュラルリンク」と称して自然な形のリンクを販売する業者も現れました。
大手と呼ばれるインターネット関連業企業さえ、こういった手法を販売していましたから、営業の電話を受けた顧客はひとたまりもありません。
「被リンクは多いほどいいんでしょ?」
「○○万円払ったけど、相場的にどうなの?」
そんな質問が寄せられるようになったのです。
…憂鬱でした。
「そうですね、相場的に30円くらいですかね」と伝えるのは。
おまえはアホか
あらかじめ寄せられる相談には、できるだけやんわりと「リンクの売買は好ましくない」と伝えていました。
でも厄介なのは、検索に強いサイトは「結果的に」被リンクが多いという事実があったことです。
有益なサイトは、当然検索にも強く、自然と 良質な被リンク が集まっているもの。
これらの事例を根拠に、SEO業者は「被リンクの獲得」ばかりを勧奨してきました。
お分かりかと思いますが、SEO業者の言う「様々なサイトから50個のリンク」は カス(質の低い被リンク)みたいなもの です。
運用実績のあるリンク元であろうと、リンクの単語が自然であろうと、結局は不自然に貼られたカスリンク。
多くの人にページの価値が認められて自然と集まるような「被リンク」とは、雲泥の差だったわけです。
こういったリンク売買のSEOがスパムと見なされて以降、逆に順位が落ちてリンク削除に奔走した方を何件か見ました。
泣きついてきた顧客には
「お前はアホか。
そんなのSEO業者の営業手法だろ!
いちいち真に受けるなよ。効果なんかないんだから」
…とは言えないので、高い勉強料を払ったね? と同情を伝えたものです。
現在でも、被リンクが圧倒的であれば、それも評価の対象かのような面影がありますし、全てが間違いとは言えないんですけどね。
「退出する」でググるとYahooが1位ですからね~(意味深)
サイトのソースに問題があると指摘された
これはHTML技術の進化に伴って、時折寄せられた相談です。
SEO業者からの営業の電話で、
- キーワード出現率が低いので、検索に弱い
- html-lintの点数が低い(HTMLに文法エラーがある)ので、検索に弱い
- HTMLの言語が古い(構造化されていない)ので、検索に弱い
などと指摘を受けたが、どうすればいいか、というもの。
今日の状況なら、もちろん
「お前はアホか。
そんなのSEO業者の営業手法だろ!
いちいち真に受けるなよ。効果なんかないんだから」
と言えなくもありません。
キーワード出現率が高くても低くても、HTMLに文法エラーがたくさんあっても、検索に強いサイトは山ほどあります。
内容こそ重視される時代だからです。
でも当時は、HTMLの文法エラーは無い方がいいし、HTMLの構造化もしてあった方がいい。
かと言って、検索に弱いと100%言い切れるわけでもない…という状況。
…憂鬱でした。
検索に弱いと言い切れる状況でもないのに、非を認めてソースの見直しを請け負うのは。
おまえはアホか
アホなのはぼくの方でした。
計らずも、SEO業者の営業によって明らかになったHTML文法エラーや言語の陳腐化。
SEO効果はどうあれ、しっかりしたHTMLを納品していれば問題にもならなかったのです。
でも結局のところ、HTMLを最新にしたら彼女ができました的な、目に見える効果はほぼありませんでしたが。
所詮、SEOの営業がサイトの粗探しをしただけですからね
記事の追加や更新はしないが、順位を上げてほしい
これは比較的新しい、ここ2・3年の相談です。
ブログが広く利用されるようになり、多くの企業サイトにもCMSが普及していくと、検索結果のあり方は大きく変わりました。
新しい記事が優先表示され、動きのないサイトは重視されにくい傾向が鮮明になってきたのです。
新しい仕組みに対応できないサイト
新しい情報が好まれる昨今の検索に、対応できない企業もあります。
WEBサイトを重視していなかったり、運用を全て外注任せにしている会社です。
新鮮な情報が好まれる以上、主体的に・タイムリーに運用 しない限り、検索に強くあり続けることなど出来るハズがありません。
それなのに、
「○○という検索で、上位にしてくれないか?」
「サイトは出来ているので、検索対策だけ追加してほしい」
と、SEOを カレーにおける福神漬け か何かと勘違いしている質問の多いこと。
…憂鬱でした。
「世界は進化しているのに、お前はまるで成長していない…」と伝えるのは。
おまえはアホか
新たな予算も取れず、主体的に運営する要員も確保できない。
でも、検索順位が低いと売上に直結してしまうから、SEOで順位を上げてほしい。
中小零細企業には、けっして少なくない悩みです。
そんな会社が、なまじ検索に強かった過去があったりすると、以前の成功にすがって運営方法を変えてくれないのです。
そんな困った顧客には、
「お前はアホか。
SEOはトッピングじゃないんだよ!
商品売りたいんなら、社内の都合なんか忘れて本気で運営しろよ!」
…とは言えないので、できるだけを頻繁に情報を載せるよう提案したものです。
CMSの導入すら拒む会社もありますからね~
どんなキーワードで検索しても上位に表示したい
最後の相談は、昔から今に至っても寄せられる相談です。
いつ、どこで仕入れた知識なのか、
「キーワードをたくさん入れればいいんでしょ」
そんな化石のような対策を未だにぶつけてくる人がいます。
そんな人に限って、「トップページ」をどんなキーワードでも強くしたい という無理難題を注文してくるのです。
Googleの壮大な目的
検索エンジンは今、Googleの寡占状態です。
このGoogleが何を目的にしているかというと、
米国Google社は、人類が使うすべての情報を集め整理するという壮大な目的を持って設立された。独自のプログラムが、世界中のウェブサイトを巡回して情報を集め、検索用の索引を作り続けている。
Wikipediaより
こんな崇高な目的を以って、検索の順位をも決めているのです。
つまり、「ページのタイトル」や「何について書かれているか」に従って、分かりやすく整理するのがGoogle。
順位を操作する行為や、ろくに書いてもいない内容で検索させようとする行為は、Googleを欺くことであって、ユーザーの利便性を損なうのです。
それなのに、何故かトップページをあらゆる単語でヒットさせたいと願う顧客。
…憂鬱でした。
「なぜお前は、閲覧者が必ずトップページから見ると思うんだ」と伝えるのは。
おまえはアホか
まず問題なのは、そのページが「何について書かれているか」が重要だということが、どうしても理解されないことです。
例えば、江古田農園という架空の農場が、「練馬大根」を販売しようとサイトの中に紹介ページを作成しました。
この江古田農園のオーナーはネットに明るい人なので、有機栽培の練馬大根をネット上で知らしめようと、こう依頼してきました。
「練馬大根で検索したら、江古田農園の トップページが1位になるように したいな」
「江戸の野菜を豊富に扱っているし、他の野菜名でも トップページを1位に したいね」
「トップページに有機栽培のいろんな野菜が載っているから、併せて見て欲しいからね」
そんな顧客には
「お前はアホか。
練馬大根でググったら、練馬大根のページが1位に決まってるだろ!
検索する人は練馬大根を求めてるんだぞ?」
…と怒鳴りたくなる気持ちを抑えて、切々と「練馬大根」紹介ページの充実と練馬大根専門サイトの開設を訴えました。
この例のように、トップページを雑誌の表紙か何かと勘違いしている人が多いこと。
検索では、トップページが目に触れる機会は少ないし、そもそも取扱商品が多いとページが「何について書かれているか」が不明瞭で、特定の検索に強くできませんからね。
検索技術が進んで、知りたい情報に直接たどり着ける昨今。トップページ不要論ですな~
まとめ
…というわけで、今までに受けたSEOの相談で憂鬱だった5つの例を紹介しました。
仁鶴室長
「SEOは移り往く っちゅうことですな。お分かりになりましたら、参考にしてください」
「 横山ホットブラザーズ さんでした~」
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